映画『ハート・ロッカー』を見た(ネタバレ注意)


『ハート・ロッカー』公式サイト

2010年第82回アカデミー賞作品賞ほか6部門受賞の映画『ハート・ロッカー』を3月6日(土)に見てきましたよ。イラクで爆弾処理の任務につく米軍兵士を描く戦争映画です。エンターテインメントというよりドキュメンタリーフィクションと言ったほうがよく、「頭のいい爆弾魔と爆弾処理班との知的攻防みたいなものか」と思ってたので正直期待はずれな内容。期待はずれといっても「私の事前の期待からずれていた」というだけで面白くないという意味ではないが。ただ「エンターテイメントを見たいなら『パラノーマル・アクティビティ』とかの方が断然おすすめですよ」とは言っておく。


以下、思いっきりネタバレ。


映画は(たぶん)フセインがもう捕まってアメリカの統治下にあるイラクが舞台。冒頭で、爆弾処理班の一人が死亡。新しくチームに加わったジェームズ軍曹は800以上の爆弾を処理した優れた実績を持つ。しかし、独断専行する人間であるジェームズにチームのサンボーン軍曹は苛立つ。もう一人のエルドリッジ技術兵は、先の死亡の件を自分は防げたのではないかという感情を2人に隠している。3人はある事件を乗り越えたことをきっかけに急速に仲を深める。


ある仕事に複数の人間が携わると当然その中で仕事が(相対的に)上手な人とそうでもない人に分かれるんだけど、ジェイムズはその勇気というか無謀というかの振る舞いで爆弾をバシバシ解体していくんですね。人間は単純だからチームの中で一番優れているだけでも得意になりますが、ジェイムズがやっている仕事は爆発すれば周囲数十メートルにいるもの全員が死亡するような爆弾の解体です。チームのサンボーンらだけでなく、警護にあたっている他の兵士やイラクの民衆の視線が集まる中で、ジェイムズがその場を支配している感覚に包まれていることは想像に難くない。実際、ジェイムズはその魅力に抗えず、ジェイムズは一旦任期を終えて帰国するのですが、(元)妻と赤ん坊を残して再び戦地に赴き爆弾処理の仕事をしている様子を見せて映画は終了します。


この映画の一番初めに「戦争とは麻薬である」という文章が出てくるけど、まさに麻薬に溺れるように戦場の危険に取りつかれている一人の人間のさまを描いた良い作品だったと思います。