「馬券の配当160億円」をどうやって実現したのか - 朝日新聞の補足記事

ちまたの競馬予想会社のうさん臭さは、「そんなに儲かるならなぜ自分で買わない」という言葉で表されるが、ほんとに儲かる人間はやはり自分で馬券を買っていることを証明した事件だと言える。

asahi.com朝日新聞)が競馬の配当160億円隠す 英国人社長のデータ分析会社という記事を報じているが、新聞紙面ではその隣に関連記事も掲載されているので、これを引用する。

「なぜそんなに稼げた - 3連単を分散買い」(2009年10月9日付朝日新聞より)


ユープロ関係者らによると、同社は、天候や出走馬の血統、騎手などの各データを入力、解析する競馬必勝プログラムを使い、高確率で配当金を得ていたという。だが、億単位の資金を使い、ほとんどの組み合わせの馬券を買うという、一般の競馬ファンにはまねできないやり方だった。


05年設立の同社が目をつけたのは、「3連単」という馬券。1着から3着までを順番通り当てるもので、配当が大きい。プログラムで、レースで3位までに入らない可能性が高い「はずれ馬」を除外したうえ、残りの馬であらゆる組み合わせの馬券を購入。倍率(オッズ)が高い馬券には小額、倍率が低い馬券には高額をかけ、配当金が投資額を上回るよう計算されていたという。億単位の支出でも高確率で一つあたり、レースごとに数億円の利益が出ていた、としている。

記事をまとめると

  1. 少数の「はずれ馬」は除いて、ほとんどの組み合わせの馬券を買っていた
  2. オッズに応じて買い目ごとに購入額を変え、(どの組み合わせが当たっても)配当金が購入額を上回るようにしていた。


ただし一応述べておくと「ほとんどの組み合わせ」というのは違うのではないか。3連単では2頭を除くだけで買い目は3分の1近く減るからである。


例えば3連単は18頭立てのレースなら全部で4896とおりの買い目があるが、1頭をはずした残り17頭すべての組み合わせは4080とおりになる。2頭はずした16頭の組み合わせなら3360とおりにまで、買い目は急に減少する。また16頭立てなら全頭の組み合わせが3360通りであるのに対して、2頭をはずした14頭の組み合わせは2184通りである。


ちなみに3頭除くと、買い目はだいたい半分ほどに減少する。


まあそれでも、オッズによって金額を変えて1000通り以上の馬券を買うのは「一般の競馬ファンにはまねできないやり方」である。


以下、記録
配当160億円所得隠し 競馬予想プログラム会社に指摘 東京国税局 - 産経MSNより引用

 競馬の配当金は所得税法上、課税対象で、配当金から馬券代と特別控除(50万円)を引いた額が一時所得となり、所得が発生すれば課税される。ただ、今回のケースについて、東京国税局は競馬予想プログラムの開発と競馬予想を会社の事業として行い、配当金を通常の収入とみなして法人税法を適用したとされる。